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今月のお題  『昼寝』     


昼寝は、夏は風通しのよい和室で冬はこたつでウトウトと、とっても気持ちのいいもの。でも昼寝は、夏の季語なんですよ。つまり夏のものらしい。さて今回、メンバーの昼寝に対する思いはどんなものなんでしょうか。


宇都宮 雅子

『うたたね向きBGM』

最近、周囲で「蓄積疲労」という言葉をよく耳にする。長びく不景気で仕事自体はさほど忙しいわけではない。なのに疲れがとれない。毎朝起きるのが辛い。そんな状態を「長年の疲労がたまってるからね」という意味で「蓄積疲労」と言う。
そんな「蓄積疲労」対策として、近年、週末の昼寝が欠かせなくなった。土曜日曜どちらでもいい。2〜3時間リビングで昼寝する。それも「さあ、これから昼寝するぞ」という目的意識を持った(?)昼寝ではなく、テレビや読書をしながら、いつのまにか眠ってしまう「うたたね型昼寝」が理想的だ。午後のJリーグ中継を見ながら寝てしまい、気がついたらプロ野球のナイター中継が始まっているぐらいの時間帯がちょうどいい。TVの音声はちょうどいいBGMだ。あえて眠気を誘う声を求めるなら、プロ野球中継の場合、西武・横浜元監督の森祗晶氏の解説がオススメ。サッカー中継の場合なら、元日本代表監督の加茂周氏。どちらもプロスポーツの緊迫感を感じさせないしゃべり口調がいい。
心地よい昼寝から目覚めたときは、いつも平和な日本に感謝する。ただし、セールスの電話で起こされようものなら殺意すら感じるが。


福留 順子

『昼寝』

昼寝のできる人生って、ストレスがたまらない。そう、ストレスのたまるような、生活してないからともいえるが、眠いときにちょいと寝られることは、ストレス解消になるということ。
アトピー治療をしているDr.に取材したとき、アトピーを悪化させないための秘訣は「やらなければならないことはすぐにする」「疲れたときには即座に休む」だといった。
人は、分かっていてもいやなことは先送りする。それを先に済ますと、「やらないと」と思うストレスがなくなる。また、疲れて帰って来て、そのまま頑張って用事を片付けるより、まず、20分でも寝ることだそうだ。疲れを引きずって用事を片付けるより、少し眠ることでその疲れを取り除くことが、ストレスを回避することになる。そうすることによって、アトピーの悪化を防ぐことができるというのだ。
昼寝の仕方は、健康番組でも取り上げられている。時間は1時間以内で15分から20分。夕方以降はしない。寝るときのスタイルは、いすに座ったうたた寝状態。コーヒーなどを飲んでから寝ると、寝覚めがいいとか。
そうか!と椅子でうたた寝をして起きると、もっと寝たくなるのですよねえ。ええい、とごろり横になると、昼寝というより…。起きてみると、日は傾き仕事は残ったままで余計に疲れ、絶望状態に。
子供のお昼寝とは違って、大人のお昼寝は短時間のうたた寝と心得よ。と痛感している昨今であります。


森 たかこ

『子供の昼寝』

昼寝と言えば、今は自分が昼寝することをぱっと思い浮かべるが、子供が小さいうちは昼寝と言えば子供の昼寝のことであった。自分の子でもかわいいばかりではないのが、子育てのややこしいところであるが、いくらギャギャーうるさくてうっとおしくてやりにくいときの子供でも、ほとんど一日に一回は昼寝をする。ありったけの声を張り上げて泣く時の顔とは別の生き物かと思うほど、昼寝の時はかわいらしい顔をして眠る。
そのときは嵐の後の凪のようだ。
昼寝は疲労回復に役立つそうだが、子供の昼寝は母の精神的な疲労回復になる。邪魔されずに片づけものをしたり、ゆっくりコーヒーをのんだり、本を読んだりまさに至福のひとときだ。10分でも多く寝ていて欲しいとよく思ったものだ。
今でも子供たちは時々、昼寝をする。それも延々と。しかしそれがテスト前だったりするので、親はうれしいよりもハラハラする方が大きく精神的に疲れてしまうのである。


伊藤 さおり

「懐かしの昼寝青春時代」

幸か不幸か、最近はとんと昼寝をすることがなくなった。仕事が忙しい時はそんな余裕はないし、ヒマな時には夜の睡眠が充分すぎて昼にはまったく眠くないといった始末。
涼しい風に吹かれながらウトウトとまどろむあの世界。あー懐かしや、なんて考えていると、いくらでも眠れた若かりし青春時代を思い出しだ。
あれは学生時代、確か刑法の授業だったと思う。失礼ながらこの教授の話は子守唄にしか聞こえず、いつの間にか机に突っ伏していた私。気が付くと、授業はとっくに終わっており、教室には談笑する2、3人が残っているだけ。それを横目にそそくさと教室を後にする私。こんなことを何度やったろうか・・・。
所変わって、信州は白馬岳山頂近くにある山小屋。決して勉学をさぼっていたわけではないが(先ほどの話からいっても説得力の無い私)、ここは夏休み2ヶ月間のアルバイト場所だ。7、8月の忙しい時は4時起きで泊り客の朝食を用意するものだから、昼寝は必須。360度みわたせる雄大な山の景色を楽しむ間もなく、一年中布団を揚げたことがないのでは?と思うような女ばかりのタコ部屋で、布団を引っかぶっていたのだった。
あー懐かしや、なんて書いてみたものの、実は優雅な「まどろみ」とは縁遠かった私の昼寝生活。ココナッツの木の下で、いや近所の雑木林でもいいんだけれど、ハンモックにゆられながら眠りの世界へ、なんていう夢はいつ果たせるのだろう。