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2008年春号のお題               
『睡眠時間』


春です。春の眠りは気持ちのいいものですね。
中学生でも知っている有名な詩に「春暁」があります。「春眠暁を覚えず」の1行は、あなたも共感できる部分ではないでしょうか。
さて、メンバーの睡眠時間に関する思いはどんなものでしょうか。

宇都宮 雅子

『睡眠時間から日本が見える』

1日8時間眠るとしたら、人生の3分の1は睡眠時間。「そんなのもったいない! 私はやりたいことがいっぱいあるから、もっと少ない睡眠時間でいい」と思っていたのは10代の頃だった。働きはじめると「1分でもいいから長く眠りたい」と願うようになり、40を過ぎる頃には「なにはともあれ睡眠をしっかり摂らないと体がもたない」という現実にブチ当たった。仕事柄、明け方まで働くこともあるけれど、足りない睡眠時間は翌日や翌々日にしっかり取り戻す。私の場合、睡眠不足のままでは仕事の効率が落ち、結果的に余計に時間がかかってしまうことになるからだ。
しかし、フリーランスで働いているから睡眠時間も確保できるわけで、サラリーマンだとこうはいかない。サービス残業に追われる私の夫の平均睡眠時間は約5時間。長い勤務時間の上に、往復3時間余の通勤時間がのしかかる。夫の体が心配なのでどうにかしてあげたいが、勤務先の事情だけはどうにもならない。聞けば、夫の職場では誰もが同じような状況だとか。社員にサービス残業をさせて、なんとか利益を確保しようとする大企業が多い中、私の夫と似た境遇の人は数え切れないほどいるのではないだろうか。
一労働者が普通に睡眠をとって、普通に暮らせる社会を望むのは、ごく当たり前のこと。真面目に働いているのに、この当たり前のことがかなえられない人たちがどれほどいることだろう。日本は本当に豊かなのか? 結局、疑問はここに戻っていく。


藤原 佳枝

『睡眠時間と寿命』

春眠暁を覚えず。春になってから特に眠い。もしかしたら、年中眠いのかもしれないが、春は眠いのを一番言い訳にできそうな気がする。睡眠と寿命との大規模調査によると、7時間半の睡眠時間の人が最も長生きできるらしい。それより睡眠時間が長い人は、むしろ短い人よりも短命とか。健康に問題のある人が、長時間睡眠を必要とする傾向があると理由づけられている。自分自身の睡眠時間を考えてみると、平均6時間程度だろうか。健康にもお肌にももう少し睡眠は必要だとわかっているけど、ついつい夜更かししてしまう。深夜家族が寝静まった後だと、仕事もはかどるし、ネットなどしていると思いがけず時間が経ってしまう。ストレス発散の気分転換には、深夜ごそごそするのは効果がある。

私の祖父母は90歳まで生きた長寿だが、祖父は元気に動き、その上よく寝ていた。昼寝も毎日していたし、夜は早く熟睡していた。一方、祖母は睡眠時間が短い人だった。両者ともに言えるのは、自分の睡眠時間など気にせずに、マイペースで生活していたということだ。結局、現在の情報化時代で、睡眠時間がどうこうと言われるが、要は自分のスタイルを守り、ストレスを軽減しながら生活していけばいいのだろう。とはいうものの、この眠さは春のせいにするしかないぐらい、なかなかに辛い。。。


森 たかこ

『寝だめできるようにならないものか』

睡眠時間ってだいたい1日6時間とか7時間とか、ある一定以上必要らしいけどどうしてまとめてとるってことできないのだろう。何とかして「寝だめ」できるようにはならないのだろうか。
睡眠不足を補うために、余分に寝てスッキリ、というのは私もよくやるがそれは寝だめとは言えない。未来に向けて「寝だめ」しておくってのはやはり今の時点ではできないみたいだ。
もしできるようになったら、世の中の病気療養中の人はものすごく元気が出ると思うのだけど。
病気で伏せているときって病気本来の痛みや辛さに加えて、ただ伏せているだけという無力感や罪悪感があるけれども、少なくともそれだけは無くなるでしょ。
「今日は20時間寝たから、本来必要な7時間ほどを引いたら13時間も余分に寝たなあ。13時間も寝だめできたよ。これで元気になったら、今まで7日間伏せていた分13×7日で91時間も寝だめできたんだ、ってことは13日間も寝ないで仕事できるんだ。看病してくれたみんなありがとう、みんなが寝ているときも私、働くよ」
って思える。安心して病気療養できる。
まあ病気で横になっているときは、その眠り分は癒しのために使われているのであって余っているのではないだろうけど。

時々頭痛になって異常に睡眠時間が長くなって家族に迷惑かけてるから、元気になってもついついこんな妄想してしまう。
だれか寝だめできる機械でもつくってくれないかなあ。ものすごく売れると思うけど。


伊藤 さおり

『眠りたくても…』
 
若い頃はいくらでも眠れた。休日などは朝の9時や10時、一度目が覚めても二度寝すれば昼過ぎまで眠っていられた。今思えばなんと贅沢な時間だったのだろう。
ところが今は現実問題として、主婦が昼まで布団にゴロゴロしているわけにはいかない。溜まりまくった洗濯物が気になる、休みの日にしかできない掃除機がけもせねばならない、朝ご飯のおかずって何かあったっけ?と疲れたカラダとはうらはらに頭の中はグルグル。特に天気のいい日などは、おてんとうさんに”早く起きろ、起きて家事をしろ”と急かされているようで、のんびり眠ってもいられない。

そんな現実はさておき、人間というもの、事情が許せばいくらでも眠っていられるというものでもないらしい。年齢とともに脳の機能が低下し、睡眠という状態を持続しにくくなるというのだ。長く覚醒状態を保てないから眠くなるのも早いし、眠っている状態を長く続けられないから朝は早く目が覚めてしまう。ということは、眠るのにも結構集中力が必要ということなのだろうか。
自分自身の集中力の低下をひしひしと感じる昨今、実は睡眠時間もこの影響を受けていたとは。二度寝ができなくなったのも、歳のせいだったかと思うと、なにか寂しさを感じるのであった…る。


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