元に戻る

    2011年冬号のお題 『就活』

就活とは就職活動の略。この時期、大学3年生にとって、就活はもう始まっているとか。メンバー達は就活に対してどのようなイメージを持っているのでしょうか。


宇都宮 雅子

『就活で人生が決まるわけではない』

私が就活を経験した80年代前半、文系4年制大卒女子はゴミのように扱われた。就活で受ける突然の女性差別に怒りを感じ、それまで受けてきた男女平等の教育はいったいなんだったのかと思ったものだ。しかし、目の前の採用担当者にそんなことを言ってもはじまらない。業種にあまりこだわらず、受けられるところを全部受けていたら、拾ってくれる企業があった。私の時代はそうだった。苦労しつつも、同級生はみな正社員で採用してもらえた。

ところが、時代は変わった。大卒者数が2倍になったにもかかわらず、企業は正社員の採用数を絞っている。あぶれた学生は非正規雇用へ流れるが、いったん非正規雇用に落ち着いてしまうと正規雇用への道がなかなか開けない。この閉塞性、人材の流動性の悪さが、就活をいっそう悲愴なものにする。

今、就活に悩んでいる学生に言いたい。目の前の企業に採用されないからといって、自己否定に走らないで。その企業が5年後どうなっているかなんて誰にもわからないのだから。今どき、ひとつの企業に一生勤められる人なんて、そういない。大企業に限定せず、中小企業にも目を向けよう。そして、ブラックでない企業なら、どこでもいいから就職しよう。就職後、失望したり転職を考えることになっても、それはそのとき考えればいい。社会経験とキャリアを身につけさえすれば、なんとかなる。就活は社会人としての第一歩を決めるが、人生のすべてを決めてしまうものではないのだから。


藤原 佳枝

『必要な人材とは』

幸いというか、私は就活を経験したことがない。もう30年近く前になるのだが、その頃は就活なんて言葉はなかったし、適当に見聞きした情報を基に就職が決まっていったように思う。当時は、今と違って景気は悪くなかった上に、情報も氾濫していなかった。

今は、就活する上で必須なものとして、パソコンがあげられている。希望する会社とはメールでのやりとりが一般的らしく、そのために膨大なメールが送受信されているようだ。名刺まで必要だ、との情報も流れている。大学3年の秋ぐらいから、遅くとも冬には就活戦線が始まるとのこと。それに向けて、みんな同じような手順を踏んでいく。

没個性と言われて久しいが、就活に向かう学生達は本当に類似している。みんなと違っていたら悪いかのような認識があるのだろうか。実際、もし自分が採用者だとすれば、多くの中から、その人だけが持っている何かキラリとしたものに注目したくなる。社会経験もないのだから、そんなにできることは多くないのはわかっている。知性や教養もほしいが、内に秘めた思いが伝わってくるような人。そんな人と一緒に仕事をしたいものだ。

不景気が長く続き買い手市場であるという不運もあるだろうが、学生達にはぜひ自分らしさを出してもらいたい。


森 たかこ

『就活が始まった』

我が家では子どもの一人が就活中。
秋までは髪を黄色くして遊びほうけていた娘が、さすがに就活中はまずいと思ったのだろう、髪を黒くしてスーツを着て説明会に出かけている。
その様子を見るだけでも「ああ、やっとここまでは何とかこぎ着けた」と感動してしまっている私がいる。
彼女は高校入学前に勝手に髪を黄色に染めたり、大学も途中で辞めると言いだして行かなくなったり他、いろいろ大変だった。(今もまだ心配ばかりさせられているが。)
一時期は「とにかく無事で大人になってくれさえすれば」と願っていた子だけに、就活をしているというだけでもう「良かった良かった」とハードルが低くなっている。
これで、就職できてまじめに仕事にいってくれると本当にホッとするのだけど、ま、私自身も就職では本当に苦労したので、結果はどうであっても頑張ったねと言ってあげたい。
(そうは言っても、やっぱり「ちゃんと結果を出すまで頑張れ」と言ってしまいそうな気もする)