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  2016年夏号のお題 『タイムマネジメント』

「忙しい」「時間に追われる」と口癖のように言う人がいる一方、時間を持て余し、どう過ごせばよいのか途方に暮れる人もいる現代日本。
タイムマネジメントの方法は人それぞれ。その一端をメンバーのコラムでご紹介します。


森 たかこ

『タイムマネジメントは、集中力の強化から』

 私は何をしても遅い。自分でも嫌になるほどだ。
 何とかしたいと、タイムマネジメントに関する本を読み、to do listを作ったり、タイマーで時間を計って記録してみたり、良いと言うことはいろいろやってみた。が、みんなうまくいかない。
「どうしてこう、何でも遅いんだろう」といつも思っていたが、最近、書店でメンタリストのDaiGoさんの「自分を繰る集中力」という本に出会って、はっきりわかった。
「私には集中力がない!」
 うすうす気がついていたというか、わかってはいたのだけど、どうしたらいいのかわからないから気づかないふりをしていたのだ。ただ、電車の中で本を読んでいると、2駅ほど降りる駅を抜かしてしまったりするぐらい集中することもあるから、集中力が全くないことはないのだが、どうも気が乗らないことをするときや強制的にやらさせることなどは集中できずにだらだらと時間を浪費してしまうようだ。
 だけど、本によると、取り巻く環境や姿勢や習慣など7つに気をつけると集中力を繰ることができるらしい。そして集中力をコントロールすることで時間の密度が変わるとのこと。
 これぞ私の求めていたタイムマネジメントではないですか。
 集中力をつける具体的なやり方は、この本に書いてあるので実践できそうなものからやってみることにした。
 たとえば「自分が最も重視したい目標にむけて部屋を整えましょう」ということ。机の上にスマホを出したとたん集中は断片的になる、というのは確かに思い当たる。「気を散らすものを視界から離れた場所に置く」というように、するべきことが具体的に書いてあるので、早速自分の部屋の片付けに取りかかった。
 しばらくして見に来た娘が
「無理と思ったけどやっぱりな」
と私を見ていった。
 片付けている途中で手元にあった本を読んでしまってお片付けに集中して取り組めていない。部屋から本をなくさないといけないのだ。さすがに部屋から本をなくすのは無理なのでできるだけ見えないようにはした。数時間もかけてだが。そして、机の上だけは何とか片付けてすっきりさせた。
 すると、あら不思議、本当に気軽にすっと仕事に取りかかれるではないですか。でも横には集中力を妨害する本や、がらくたの山が目に入る……。で、あっという間に集中力が途切れてしまう。
 私の場合、タイムマネジメントは、集中力を強化することにつきる。そしてそれが一番難しい。
 


藤原 佳枝


『タイムマネジメント−優先順位』

仕事をしているとタイムマネジメントの重要性を感じる。自分のペースでできる仕事ならば、比較的マネジメントも容易であろう。また仕事を主として時間配分を決めることができる人にとっても、容易だと思われる。

女性で家事も育児も仕事も、さらには介護もやらなくてはいけない状況もあるだろう。こういう場合には、とにかく優先順位をつけるしかない。そして自分でなければできないことなのか、他の人に任せられるのか、外注できるのか、そうした判断も必要だろう。私のように年を経てくると、任せることや外注することが増えてくる。というか意識的に増やしている。余った時間は休息や睡眠にあてたい。その方が結果的に効率的だと思えるから。

しかし、現実は時間に追われ、後まわしになってしまうことも多い。できるときにやろうと思っている家の片付けなど、手を付けてもいないのが恥ずかしい。ただいま現在、この暑い中、やはり優先順位は仕事&休養で、その他の大きな家事は季節のよい秋を待つというのが正しいと勝手判断している。仕事ができる人ほどタイムマネジメントは上手だと聞くので、私も是非伺ってみたい。自分は下手だという自覚はあるので。



宇都宮 雅子

『時間格差をどう乗り切るか』

書店のビジネスコーナーに行くと、必ず目につくのがタイムマネジメントの本。
『仕事が速い人の○○術』『1秒でできる○○活用術』……いやはや、日本のビジネスパーソンはここまで仕事に追われているのか。
私自身は「仕事が速い」と誉めていただくことが多いが、別段なにかを心がけているわけではなく、目の前の作業を最短時間で終わらせる方法をいつも考えているだけ。時には方法を間違えることもあるし、予想以上に時間がかかることもある。
そもそもビジネスパーソンのタイムマネジメントは、「仕事」というくくりで作業を一括して考えることができるから、比較的対処が簡単なのではないだろうか。むしろ「仕事+育児」「仕事+介護」という異種のものに追われている人のほうが、さぞかし大変だろうと頭が下がる。

さらに昨今よく感じるのは、「忙しい人」と「時間を持て余している人」の格差の広がりだ。
いささか乱暴に言い切ってしまえば、仕事が忙しい人はお金はあるが時間がない。反対に仕事をしていない人は、時間はあるが、往々にしてお金がない。
お金と時間、どちらを取るかはその人の考え方次第だが、人生は思いどおりに運ばないことが多いもの。
大量リタイア時代を迎えて危惧するのは、前者から後者へのスムーズな移行だ。「仕事」という人生でもっとも時間を食う対象がなくなったとき、人はどうやって時間を潰すのか。人生の諸先輩方のライフスタイルがとても気になる今日この頃だ。

私が日記に書いたいちばん大きな夢は、たしか「他の恒星系へ行ってみたい」だった。
1970年代当時は「21世紀になれば火星旅行ぐらいできるかも」という風潮だったので、こんなことが書けた。
今は生きている間に人類の火星旅行を見届けたい。あ、それとサッカー日本代表のワールドカップ優勝も(笑)。